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(注:本来BGMに中島みゆきサンの“地上の星”を流したいのですが、著作権等の関係でできません。 CDをお持ちの方はそれを聞きながら、お持ちで無い方は♪風の中のすぅ~ばるぅ~・・・♪と口ずさんでください。) (田口トモロヲ調で) この物語は、女房子供に不良オヤジと軽蔑されながらもひた向きに電脳と格闘する熱き中年オヤジ(ケンちゃん)の物語である。
昭和4△年、世はまさに高度経済成長を迎えていた。 ここは岡山県の山間部の小学校。 2年生になった少年が居た。 とても愛くるしいケンちゃんの少年時代であった。
ある日の理科の時間の出来事だった。 担任のベテラン女性教諭F先生は粘土で船を作って水槽に浮かべてみせた。 そして誇らしげに「塊の粘土は水に沈みますが、船の形にすると水に浮きます。」と言った。 すぐさまケンちゃんは、「どうして船の形にすると水に浮くんですか?」と質問した。 先生は答えた。「さっきから言っているでしょう!船の形にするから浮くんです!」 まわりの生徒も野次を飛ばした「さっき先生が言ったのを聞いてなかったのか?」とあざ笑った。 くやしかった。
放課後、ケンちゃんは職員室のF先生の元へ走った。 ケンちゃんは涙ながらに言った。 「船の形じゃなくても真中をくぼませたら粘土は水に浮くのは知っている。 僕が聞きたかったのは“浮力”について詳しく教えてほしかったんじゃ!」 F先生は黙った。(そりゃそうですね。小学校2年で“浮力”と言う言葉を口にしたんですから) 見かねた別の先生が横槍を入れた。 「今はそんな事は知らなくても良いから先生の言うことだけを聞いていれば宜しい。」 ホッとしたF先生も調子に乗って言った。 「そんなに“浮力”を知りたかったら高校とかで習うからそれまでは知らなくても良い。」とさえ言った。 (でも高校では習わなかったかと思います)
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『只今の決まり手は“その場しのぎ”で西方F先生の勝ちぃ!』
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あの二人の先生の言葉は中年になった今でも忘れられなかった。
しばらくたったある日の理科の時間だった。 F先生は蒲鉾板に帆を付けたものを水槽に入れてフーと吹いた。 蒲鉾板の帆掛け舟は水面を走った。 そして誇らしげに言った。 「こんな風に、ヨットは風を受けて風下へ動きますが、風上には行けません。」と。
すぐさまケンちゃんは反論した。 「先生、ヨットは風上にも行けるよ。」と 当時、オマセなケンちゃんは“揚力”と言う言葉を知っていた。 飛行機の翼は飛行中に空気の流速が上面と下面で異なる事によって上に引っ張られる力(揚力)が発生するのである。 これを利用することによりヨットは風上に進む事ができるのを彼はすでに知っていたがF先生が知る由も無かった。 (考えてみれば、それができないとヨットは港に帰って来れませんよね) F先生は「ウソばかり言って授業の邪魔をするな」とさえ言った。 ケンちゃんは下を向いて涙ながらに小声でつぶやいた 「それでもヨットは風上に行けるんじゃ・・・」と
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『只今の決まり手は“見下し”てF先生の二場所勝ち越しぃ!』
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そして月日は流れ、大学受験を控えたケンちゃんは志望校に九州の某大学の構造工学科を選んだ。 そこは造船とか飛行機、構造物等の専門の知識が得られるからだった。 小学校2年のあの事件がケンちゃんをそこへ行かせる原因だったのかもしれない。 (別の見方をすれば、そうとう根に持つタイプの少年だったのかもしれない)
(ここからは、BGMを中島みゆきサンのヘッドライト・テールライトに変えて下さい) ♪かたぁ~りつぐぅ人ぉ~もぉ無くぅ・・・♪
さんざん大はったりをかましたF先生。 とっくに定年退職して今は年金と恩給生活を送っている。
悔し涙を流したケンちゃん。 4年間大学で学んだ事はすっかり忘れて、今は電脳地獄を徘徊する毎日。 しかしこの年になっても子供の頃の出来事を鮮明に覚えている・・・
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