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昨夕我が家の近辺で悲しいできごとがあった。今日の朝刊に小さく報道されたが思いもかけない刑事事件である。
マスコミが騒ぐには程遠い事件であるが、自宅からほんの70mほどしか離れていない家庭でのできごとだ。 我らが住宅地にもこんなことがとうとう起こったのかと驚かされた。
「母親が自閉症の吾が子(長男
・27歳)を刺殺」というのである。
事件の詳しいことは分からない。しかしおおよその事態は推察できる。 何処にでも起こり得るいや現実に日本の各地で起こっているケースだけに考えさせられるものがあった。
報道には
「夫が帰宅したら長男が刺されて倒れており、怪我のある妻は自殺を図った疑いが持たれている」
とあった。 自閉症の吾が子を抱えて現実の厳しさや将来の不安に耐え切れず、 母親が吾が子の幸せを考えて一緒に死ぬ覚悟だったに違いない。
夕食の最中に事件を物語るパトカーの警報が鳴り響いていた。 やけに近いので
「近くで何かあったようだな。消防車のようでもあるしボヤでもあったのかな?」、 そして次第に聞こえなくなった警報に、「どっか上の方かも?」
と妻と話していた。
暫くして勤めから帰ってきた娘が
「直ぐそこでテープが張られ警官が立ち、パトカーがそばに居た」、 「いつもの道が通れずちょっと迂回した」
と話す。
やはり事件だったのだと妻と顔を見合わせて場所を尋ねると
「上の○○さんの処」
だと言う。 雨も降っており物見の趣味は無いので行って見なかったが朝刊に小さい見出しながらも報道されていた。
二人が一緒に歩く姿は時々見たことはあった。まるでお化粧などしない素顔の母親と、 その母親に良く似た顔立ちでちょっと小太りの青年だった。
報道されるまで知的障害児とばかり思っていたし、もっと若いと思っていたので自閉症
・27歳は以外だった。 いつも仲良く並んで歩いており二人の間に何かトラブルが起きたとはとても考え難い。
他人様の悲しい出来事を興味本位に憶測してあれこれ言うつもりは無い。
同情すべきは最愛の息子と共に死ぬ道を選ばざるを得なかった母親の心情だ。 とは言え27年間も面倒を見て育て上げ共に生きてきたのに
「何故今になって?」 という感じがする。
世間体を気にせず我慢して生きていけば幾らでも生きれた筈だ。 彼が家族の行く末にとって今になって邪魔な存在になったとはとても思えない。
報道に主人のお話で
「妻は精神疾患だった」 とある。 吾が子と一日中相対して生きている身障者を持つ母親のご苦労は想像以上のものだろう。
塞ぎがちとなり心の病に冒されても当然なのだ。シグナルは出ていなかったのだろうか? 後で知ったが他のお子さんもおられたようだ。家族全員シグナルに気が付かなかったのだろうか?
当日二人きりになってから発作的に起こした行動だったのなら防ぎようもないが、 知的障害児を抱える家族に対して社会のシステムが母子の将来に夢と希望を与えるものであったなら こんな悲劇を生むことは無かっただろう。
人生生きて先まで行ってみなければどうなるか分からないことは一杯ある。予想を超えた事態は起こり得る。 今をどん底と考えれば良いことは沢山待ち構えている筈だ。
弱者に冷たい最近の自民党政治だが世間一般市民が全て冷たいとは限らない。 僅かな希望でも持ち続けて生きてさえいれば良い時はきっと来るんだとの気持ちで頑張って欲しかった。
悲しい事件に胸が痛む。お子さんの冥福を祈ろう。 母親は重い荷物を降ろしたかに見えるが新たにそれよりももっと重い十字架を背負われた。
更正され元気を取り戻されて、いつの日か生きていたからこその幸せを摑み、あの世の息子さんに捧げられる事を祈りたい。
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